シドニー五輪銀、永田克彦さんが語る『本物の筋肉』? ~その2 心身を強くすることへの想いとこれからの夢~

シドニー五輪レスリング銀メダリスト、永田克彦氏の新しいトレーニングジム『MUSCLE-WIN(マッスルウィン)』がオープンを迎える。『本物の筋肉作り』をコンセプトとする新ジムは、オーナー自らの人生経験と強いこだわりが色濃く、映し出される環境となっている。


今回は初めに、永田氏の経験を踏まえ、トレーニングがどのように人間にポジティブな影響を及ぼすか、幼少の頃からのエピソードも交えて語ってもらっている。

いじめにあうも、体を鍛えることで得られた自信

「僕らの(子供の頃)時代は、今以上にいじめがありましたよね。僕自身がいじめられたり、からかわれたりする対象になり易かったです。

何故かというと僕は昔からマイペースだったり、自己肯定感がメチャメチャ高かったんです。『自分は普通と違うな』とか『何か出来るんじゃないか』という思いは強かったですね。

だからこそ目立ったり、人からは『なんだこいつ』と感じられることも多く、小学生くらいまでは(いじめの)標的にされ易かったです。自分としてはやっぱり『いつか見返したい』という思いも持ち続けていました。

その後、高校からレスリングを始めて、トレーニングで身体つきも変わると、それまでの様にからかわれたりすることが全く無くなったんです。鍛え続けてきたことで外見も変わるとともに、内面からも自信も沸いてきたんですよ。やはりトレーニングにより肉体を鍛えることで、内面からの自信を得られたことは人生にとって大きかったです。」

元々、『自分を信じる』思いが強かったという永田氏が、子供の頃のいじめらていた経験を経て、トレーニングに励み続けた。そこで培われてきた自信は、今も人生を前向きに歩むための原動力となっている。

2000年、シドニー五輪での表彰式

大切なのは「心身の強さ」を身につけること

そんな永田氏には、経営者として現在のコロナ禍はどのように捉えているだろうか。お客様相手の商売である以上、ネガティブにならざるを得ないシチュエーションであるものの、返ってきた答えは、やはりそれまでの人生での経験が反映されている。

「遅かれ早かれ、様々な困難な状況は訪れると思います。そして、どんな時でも出来ない理由を探すのは簡単です。そうではなく、より一歩踏み込んで、自分の身体を自分で守るためにトレーニングで鍛え上げ、強い身体からくる自信、さらに何事に対してもポジティブに捉えて乗り越えていく強さを身につけることが、今後はさらに大切になっていくのではないでしょうか。

もちろん、会員制にすることで密にならないようにするなど、ジム自体も感染対策は行なっています。
コロナ禍ではありますが、消極的になりすぎることなく、少なからず身体を動かしたいという人や色々なストレスを感じている人もいると思うので、(その気持ちに応え)前向きな想いをさらに育てていきたいと思っています。」

子供達とのレスリングイベントも

ジム経営では経営者として、そして指導者として多くの喜びも

新ジム『マッスルウィン』以外にも、格闘トレーニングジム『レッスルウィン』も経営してきた中での、困難や苦労を乗り越えてきたエピソードも伺ってみた。ただ、やはりポジティブな語り口で、それ以上に多くの『喜び』を語る言葉が多く並んでいる。

「人間として、選手としての成長を感じられることが大きな喜びです。
経営者であるとともに、指導者でもあるので、多くの子供たちが『レッスルウィン』を通してレスリングに出会い、いろんなことを経験し、どんどん飛躍していってくれたことが何よりも嬉しいですね。やはり、自分自身が長くやってきた競技やトレーニングのことを伝えられるので、やりがいのある仕事だなとも感じています。


また、十年前に「親子レスリング」という体験イベントを開催したことがありました。その時に参加していた小学生の子が、イベントをきっかけにレスリングを始めて、今は高校3年で、レスリング強豪校でバリバリやっています。親御さんからは『あのときイベントに参加して、ほんとに良かったです』という感謝の言葉を頂いたことも、嬉しかったですね。

ジム経営できつかった部分は経営者として、常にお金のことは考えなきゃいけないことですし、常に不安もあります。そういうところは宿命というか、しょうがないかなという感じですね。」

競技者としての姿をみせることで伝えたいこと、そして今後の夢とは

今も現役選手としてマットに上がり続ける永田氏。40代に入っても競技者として輝かしい実績(2015年全日本選手権優勝、2019年にも出場)を残してきている。未だ現役でもあり続ける理由には、自身を通して、多くの人に伝えていきたいという思いがあった。

日々トレーニングを積み、競技に挑む、その躍動する姿をこれからも長くみせ続けていきたい、そう力強く語っている。

「(練習は)今の立場の中で、やれるだけのことをやるというスタンスでいます。(レスリング選手として)昔ほどの練習を行っているわけではないのですが、年齢を重ねても、質の高いトレーニングを集中して行うことで元気でいられますし、普段からの鍛錬により、試合にもコンディションを保って挑めます。バリバリの現役とは違いますが、『まだ動ける』ということを競技を続けることでみせていきたいです。その姿勢を今後も指導する中で伝えていきたい、そこは強いこだわりです。」

2015年、歴代最年長で全日本選手権を制覇

年齢とは関係なく身体を動かすことで健康を得られ、元気であり続けるという多くの人々の願望を体現していきたいという永田氏の言葉は、トレーニング愛好者のみならず、様々な人々への健康へのアプローチの大きなヒントを与えてくれている。

さらにもう一つ、今後の夢についても語ってもらった。その言葉には、聞く側の背中を押す、より強いメッセージが込められていた。

「レスリングではジムから、2年連続(2018・2019年)で全国大会で一番多く入賞者を出すことが出来て、実績としては一番になりました。経営者として二つのジムを盛り上げていくということも勿論、行く行くは、レッスルウィンをフランチャイズ化することでレスリングの底辺拡大も図るなど、色々な意味で日本一のジムにしていきたいです。オリンピックのメダリストも出せたらいいなとも思っています。夢はいっぱいあるんです。

レッスルウィンでは子供達がレスリングや格闘技を通じて、マッスルウィンは多くの人たちが筋肉作りを通して、それぞれの可能性を伸ばして行ってもらいたいと願っています。
僕自身のこれまでの人生でも感じた人間の可能性、『こんなことも出来るんだ』という可能性の凄さを伝えていきたい、トレーニングをする上でも、生きていく上でも、その想いが根底にありますね。」


現在、新ジムオープンにあたりクラウドファンティングで出資を募っており、ジムに通うお客様がこれまで以上に安心して汗を流せるように、コロナ禍での感染対策・安全のための設備をはじめとする、トレーニング環境を充実させることにも力を注いでいる。

多くの人々の可能性を後押しする新ジム『MUSCLE-WIN』へ込められた永田氏の熱い想いはそのまま、ジムへ足を運ぶ人にとっても生きていく上で力強いサポートとなるはずだ。

コラム第3回では、永田氏の意外な一面が伝わる筋肉にまつわる興味深いエピソードの他、ジムオープン後のトレーニング体験談も掲載予定です。

 (取材/文:佐藤文孝)


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