首都大学野球1部春季リーグ戦開幕を前に、各チームをおさらい

 2021年の首都大学野球春季リーグ戦。一足早く2部が開幕した。

 4月10日には、いよいよ1部も開幕する。新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から1戦総当たり・勝率制という異例の短期決戦を戦い抜いた昨秋。今春は試合数が増え、2戦総当たり・勝率制で頂点を目指す。

 1部開幕を前に、昨秋の試合に出場し今春も活躍を期待される選手を取り上げながら、今季の見どころについて記していく。なお、選手の学年は、昨秋のものを記載している。

日本体育大学

 そのときは静かに訪れた。

 2020年秋。日本体育大学は2017年秋以来、24回目のリーグ優勝を果たした。いつもならマウンドに集まりその喜びを爆発させるところだが、今年は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、それは許されなかった。それでも、日体大側スタンドからは勝利を祝う紙テープが舞い、選手もスタンドも笑顔で喜びを分かち合った。

 昨秋の首都大学野球1部リーグ戦は1戦総当たり・勝率制で、戦えるのは各校たった5試合だった。2戦先勝・勝ち点制の普段とは違い、1試合負けるたび大きく優勝から遠のいていく。春季リーグ戦が中止となり、約1年ぶりの公式戦に臨むにしてはハードな状況下での戦いだった。

 2017年秋のリーグ優勝、そして日本一となったときの日体大には、当時3年生だった松本航投手(西武)と東妻勇輔投手(ロッテ)がいた。優勝こそできなかったものの、2018年は4年生となったふたりが引き続き2枚看板としてチームの柱となり、2019年には吉田大喜投手(ヤクルト)と北山比呂投手(東芝)がそのポジションを引き継いだ。

 2020年は、そんな先輩方と一緒に1年時から公式戦に登板してきた森博人投手(のちに中日2位指名)が、いよいよエースに。2日連続で試合が行われるため、森の他にもうひとり先発を任せられる投手が必要だった。そこを埋めたのが公式戦初登板の筒井恒匡投手(3年・松本工)だった。

 2年時のオープン戦での登板を観たときも素材の良さを感じた筒井だったが、当時よりも明らかに投球の幅が広がっていた。もともと投げていたカーブ、スライダーの他に、辻孟彦コーチのアドバイスを受け、新しくフォークを習得したからだった。優勝がかかった桜美林戦では、8回99球を投げ2安打無失点と完璧な投球でチームを勝利に導いた。

安定感のある投球を見せた筒井恒匡投手

 野手では、守備にも定評がある松浦佑星内野手(1年・富島)が全試合1番ショートで出場。5試合中4試合で初回から出塁するなど、リードオフマンとしての役割を十分に果たした。また、古城隆利監督は、2試合連続代打で適時打を打った堀口遼馬捕手(3年・日大藤沢)を次の桜美林戦で4番指名打者に大抜擢。その試合、堀口は先制3ランを放ち、これが決勝点となった。

 昨季はこういった古城監督の采配が的中する場面が多かったことも、短期決戦を制することのできた要因のひとつだろう。

四番に抜擢され期待に応えた堀口遼馬捕手

 そして、二刀流で注目されているのが矢澤宏太選手(2年・藤嶺藤沢)だ。DHが解除され、外野手としてスタメン出場していた矢澤がマウンドに向かう。昨季は、大学野球の公式戦ではなかなかない、こんな夢のあるシーンも見られた。今春も、矢澤がどんな役割で出場するかは首都大学野球リーグの見どころのひとつだろう。投球、打撃、走塁、守備とすべてにおいて魅せてくれる矢澤は、新3年生となった今年、どれほどのパフォーマンスを見せてくれるのか。期待しかない。

武蔵大学

 昨季、2位に食い込んだことで、2年連続の関東地区大学野球選手権大会出場を果たした武蔵大学。とにかく野球を楽しんでいると感じるチームだ。

 島田海都投手(4年・川越東)が桜美林戦で初完投、初完封と有終の美を飾り卒業。もうひとりの柱である山内大輔投手(3年・東海大菅生)は、取材時には聞こえないほど小さな声で話すが、マウンドでは勝気な表情をするためそのギャップにびっくりする。ここぞというときの粘りの投球は、新4年生となった今春もチームに勝ちをもたらすことだろう。

経験豊富な山内大輔投手

 石綿唯人投手(1年・星槎国際湘南)、黒澤誠泰投手(1年・宇都宮商)、鈴木啓悟投手(1年・桐蔭学園)などの1年生も、昨秋公式戦を経験した。武蔵大は、各学年に登板できる投手が揃っている。今春は、山内を中心にどの投手がマウンドに上がるのか楽しみだ。

 野手は、スタメンの多くが4年生だった。その中で、松下豪佑外野手(2年・佼成学園)は1年時から4番に座っている。高校時代から4番を打っていた長打が魅力の左バッターだが、大学に入りバットが金属から木に変わったことで、レフト方向への打球ののびが足りないと感じ、ウエイトトレーニングに力を入れたという。昨秋の帝京大戦では満塁弾も放った。打席に立つたびに、ホームランを期待してしまう選手だ。

満塁弾を放ち吠える松下豪佑外野手

 今春も、武蔵の元気な野球が見られるだろうか。

帝京大学

 いいスタートを切ったが、惜しくも3位となってしまった帝京大学。バットがよく振れるチームなので、打線が爆発する可能性を秘めている。

 唐澤良一監督もそのポテンシャルを評価し、1年時からスタメン入りした中里光貴外野手(1年・仙台育英)や佐久間崇太内野手(1年・享栄)は、今春どんな選手となっているだろうか。

 昨秋は、後藤将太捕手(4年・奈良大附属)が主将としてチームをまとめた。後藤は次の世代について「リーグ優勝するためには、4番の光本将吾外野手(2年・滋賀学園)、草野里葵外野手(3年・市立船橋)、宮川将平内野手(3年・成田)、大友宗捕手(3年・府立鳥羽)などが中心になって、必死にやらないといけない」と話した。

 二塁送球が1,8秒を切ることもある後藤が卒業し、唐澤監督は「捕ってから早いのが後藤、肩の強さで言えば大友」と、大友に期待を寄せる。大友の魅力は打撃にもある。簡単にホームランを打っているように見えてしまうその打撃でも、チームに勢いをつけて欲しい。

豪快なバッティングが魅力、大友宗捕手

 昨年、都市対抗野球大会で活躍したことから、帝京大OBの廣畑敦也投手(三菱自動車倉敷オーシャンズ)がドラフト1位候補として注目され始めたが、後輩たちも負けてはいない。

 誰かが飛び抜けているというよりも、全体的なレベルの高い帝京大投手陣。大津亮介投手(九産大九州)が日本製鉄鹿島、中川航投手(聖望学園)が東邦ガス、阿部卓未投手(玉野光南)がJR四国、金田悠太朗投手(厚木北)が東海理化と投手では4人の4年生が、この春卒業して企業チームに進んだ。

 故障で離脱していた岡野佑大投手(3年・神戸国際大附)も、昨秋復帰。故障前よりキレのある球を投げていた。明らかに体が一回りどころか二回りも大きくなっていた岡野。トレーナーなどに相談しながら、ウエイトトレーニングに力を入れたそうだ。重くなった体にも少しずつ慣れてきて、昨秋はこれまでとはまた違うピッチングを見せた。

躍動感溢れる投球フォームの岡野佑大投手

 投手のレベルが全体的に上がっていると感じるのは、チームで特別な練習をしているわけではないため、個々の能力と練習によるものではないかと岡野は話す。

 「僕らの代のピッチャーも能力が高い。経験上、一番投げているのは僕なので僕が一番しっかりして、その結果、みんながついてこられるような雰囲気づくりをやっていけたらいいなと思います」という岡野の言葉を信じ、今春の投手陣にも注目したい。

筑波大学

 4位に甘んじた筑波大学。

 筑波大は、投手陣に故障と不調が相次ぎ、リーグ優勝に王手をかけながらも最後の最後に届かないシーズンが続いていた。佐藤隼輔投手(3年・仙台)にばかり負担をかけられないと、昨秋は最後のシーズンとなる4年生が次々と復帰。優勝を狙える布陣となっていたが、勝てそうで勝てない試合が続いてしまった。

1年生のときから投げていた佐藤隼輔投手も4年生になる

 今春はドラフト1位候補の佐藤を軸に、新3年生となる西舘洸希投手(盛岡三)などに期待がかかる。

 野手では、捕手の成沢巧馬(1年・東邦)が面白い存在だ。昨秋は、1年生とは思えない強気なプレーを見せてくれた。強肩、キャッチングの上手さ、配球面と、今後さらに光る存在となりそうだ。

センバツ優勝経験は伊達じゃない成沢巧馬捕手

 昨秋、筑波大のスタメンは3年生以下が多かった。片岡心内野手(3年・報徳学園)、上中尾真季外野手(3年・敦賀気比)、星野大希外野手(3年・高崎)など、経験豊富な選手もいよいよ最終年となる。

 ひとりひとりの力はある。それが、線となって繋がるところが見たい。

桜美林大学

 5位となったのは桜美林大学。

 2019年春に2部降格、そして秋にはすぐ1部に昇格した桜美林大だったが、昨秋は開幕から4連敗と苦戦。最後の試合で帝京大に勝利し、なんとか最下位は免れた。

 森田南々斗投手(3年・日大山形)、杉田俊介投手(2年・駿台甲府)など、経験を積んできた投手が、今春さらなる進化をしているかに注目したい。

今春は新4年生としてチームを引っ張る森田南々斗投手

 昨秋、2連敗後の記事に「少し寂しい結果となっている桜美林大だが、突破口はある。第2戦でスタメン出場した2番・河原木皇太捕手(3年・横浜/外野手として出場)は、初回にフルカウントから四球で出塁して盗塁、6回表には中前安打で出塁し盗塁といずれもチャンスを作った。また、6回表の盗塁は、タッチをかいくぐってベースの上に立つという器用さも見せた。せっかくのチャンスを生かせるよう、次の試合では河原木を起点とした得点シーンも見てみたい」と書いた。次の試合からもスタメンで起用された河原木は、出塁してチャンスを作り、今度はホームを踏む姿を見せてくれた。今春も打のキーマンとなるか。

 徳田優大捕手(4年・横浜)、新納明憲捕手(4年・東海大甲府)とふたりの4年生捕手が出場した昨秋。最終戦後、津野裕幸監督に来季からの捕手はどうなるのかを質問したところ「鋭いですね。そこが、一番うちが強化していかなければならない補強ポイントです。まだこの選手でいくというのは決まっていないですね」という答えが返ってきた。

 どの捕手が開幕スタメンの座を勝ち取ったか、ぜひチェックして欲しい。

東海大学

 史上初の最下位に沈んだ東海大学。

 最終週を前にして不祥事が発覚し、最終戦は不戦敗となった。初戦は桜美林大に快勝したものの、その後は層の厚さを生かしきれず3連敗と、リーグ4連覇をしたチームとは思えないちぐはぐさが目立った。

 2019年はスタメンのほとんどが4年生だった。その中に食い込んでレギュラーとなっていた下級生はわずかで、ときどき出場はしても毎試合出るには至らない選手が多かった。4年生が卒業し、大きくチームカラーが変わった昨秋は、勝ち方を掴みきれないままズルズルと負けてしまった。

 投手陣も実力を出し切れない苦しい投球が続き、その中で健闘したのは高杉勝太郎投手(3年・東海大札幌)だった。今春はどのような投球を見せるのか。

最終学年はどんな投球を見せるのか? 高杉勝太郎投手

 不祥事による東海大野球部への処分についてはさまざまな意見が見られたが、どんな結論を出しても必ずどこかから批判は起きるものだ。何が正解は誰にもわからない。井尻陽久監督、門馬大主将という新体制でリスタートするこの春、全力で戦って欲しい。

 大学野球の主役は誰か。今この瞬間、大学野球に向き合っている学生たちだ。

開幕!

 いよいよ開幕する首都大学野球1部春季リーグ戦。観戦を考えている方は、首都大学野球連盟公式サイトで新型コロナウイルス感染予防に関する連盟の対応などを必ずチェックしてから、球場へ向かっていただきたい。

 球春到来。首都の春が始まる。

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