モーニングスターの21年3月期は経常16%増益、10期連続最高益を更新

モーニングスターは4月23日、2021年3月期の通期決算を発表した。売上高は74.85億円で前年同期比9.8%増、経常利益は21.55億円で同16.0%増となり、連結経常利益は12期連続の増益、10期連続の最高益を更新した。(写真は、決算説明会でのモーニングスター代表取締役社長の朝倉智也氏)

 モーニングスター <4765> は4月23日、2021年3月期の通期決算を発表した。売上高は74.85億円で前年同期比9.8%増、経常利益は21.55億円で同16.0%増となり、連結経常利益は12期連続の増益、10期連続の最高益を更新した。同日、決算説明会を開催し、同社代表取締役社長の朝倉智也氏(写真)は、「21年3月期は第1四半期にコロナの影響でセミナー関連の中止などの影響で減益決算となったものの、その中で対面以外の情報提供ツールの開発やYoutubeを使った発信を始め、コロナ禍によるマイナスをカバーする取り組みを地道に進めた。期の後半には、対面サービスの中断で落ち込んだ収益をかなりカバーできるようになった。一方、資産運用業務については、コロナ禍にあっても地域金融機関には預金が積み上がり資産運運用ニーズが高まり、かつ、巣ごもり需要によって投信の残高もプラスになるなど良好な環境になった」と総括し、今期の事業運営についても、「前期に進めた取り組みを進化させ、引き続き株主価値の拡大に努めていきたい」と語っていた。

 通期のサービス/プロダクト別売上高は、主力のファンドデータサービスが、タブレットアプリ関連データが4.6%増、スマホ・PC向けデータが8.7%増と堅調に伸びたものの、メディア・ソリューション事業のセミナー関連が16.5%減、ウェブ広告が80.3%減と大きく落ち込んだ。一方、アセットマネジメント事業は、公募投信を提供するSBIアセットマネジメントが10.1%減となったものの、地域金融機関から運用を受託するSBIボンド・インベストメント・マネジメントが5.1倍増、SBI地方創生アセットマネジメントは10.1倍増と大幅に売り上げを伸ばした。

 金融機関向けの窓販アプリ「Wealth Advisors」の提供社数は21年3月末で482社、10万3038台と、20年3月末比で提供社数は11.8%増、提供台数は12.5%増と拡大。同社では、タブレットアプリ提供台数について3年後に15万台をめざし、四半期(3カ月)あたり4000台増を目標に掲げているが、21年1-3月期には約2400台増と目標を下回った。朝倉氏は、「既に地方銀行は全100行の中で当社が73行にアプリを提供しているが、信用金庫は全国254金庫のうち採用は56金庫に留まる。地方銀行においても、担当者に1人1台行き渡っているわけではないので、依然として提供台数の拡大余地は大きい」と語り、その拡大にはコロナ禍で開発してきた各種の投資関連ツールや顧客情報連携などの機能拡充などが採用増のきっかけになるとした。

 また、大きな落ち込みとなったメディア・ソリューション事業については、スマートフォンアプリのダウンロード数が20年3月末比14.3%増の89.5万に増大し、モーニングスターYouTube公式チャネルが登録者数3万人、再生回数200万台を突破するなど好調なことから、「これまでの広告事業に加えて、選別したコンテンツやツール、データなどを一部有料で提供し、サブスクリプション(定期購読)とのハイブリッドで収益力の強化を図りたい」(朝倉氏)とした。

 一方、アセットマネジメント事業は、同社グループの運用残高は21年3月末現在で2兆8691億円と20年3月末比65.8%増。特に、地域金融機関を中心とした機関投資家からの運用受託額は21年3月末に1兆8879億円と20年3月末比73.38%増と大きく伸びた。地域金融機関の有価証券運用残高は21年2月末時点で127.6兆円に達し、そのうち利回りの低い円債での運用が84.7兆円を占め、運用の高度化・多様化が求められている。同社グループが提供する運用商品は、提携するPIMCOやSBIグループの海外ネットワークの強みを活かした米地方債や欧州・豪州債券、あるいは、株式やリートを含むマルチアセットなど、評価益を拡大する商品群になっている。朝倉氏は、「既存の有価証券運用の高度化に加え、地域金融機関の預金量は引き続き増加傾向にあり、有価証券運用ニーズは一段と拡大する見通しだ」とこの分野の環境は追い風にあると語っている。また、公募投信分野では需要の高まっているインデックスファンドのラインナップを拡充し、現在2779億円のインデックスファンドの残高を3年後に1兆円に拡大するという目標を示した。

 さらに、新規事業として企業型確定拠出年金向けの投資助言サービス、また、業界最安値(年0.5%程度)の低コストで提供するロボアドバイザーの提供を準備しているとした。企業型確定拠出年金向けには「運用ポートフォリオの作り方が分からない、どのファンドを選べば良いのかわからないという加入者の悩みに直接応える投資助言サービス。ロボアドバイザーにおいては、既存のサービスではおろそかになっている資産活用層の定期売却サービスにフォーカスしたサービスを用意するなど、十分に差別化した内容でサービスを提供する考え」(朝倉氏)とした。

 なお、同社は期末配当を8.5円とし、中間配当7.5円を加えて年間16円(前期比1円増配)の配当を実施。09年3月期から12期連続で増配を実施している。配当の裏付けとなる連結当期利益は13.18億円で前年同期比7.1%増と12期連続の増益、8期連続の最高益を更新した。過去10年間の当期利益の年平均成長率(CAGR)は15.8%となり、連続増益・増配を12期以上続ける企業は全上場企業3871社の中で、同社を含め4社しかない。その4社の中で当期利益の過去10年の年率成長率ではトップに立つ。朝倉氏は、「引き続き株主価値の拡大を図り、当期利益を伸ばすことによって連続増益記録の更新をめざしたい」と語った。

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