<最優秀ファンド賞>2年連続受賞した「情報エレクトロニクスファンド」、成長企業への変化を見極める確かな選択眼

野村アセットマネジメントが設定・運用する「情報エレクトロニクスファンド」がファンド オブ ザ イヤー2020の国内株式型 部門で最優秀ファンド賞を受賞した。同ファンドの運用を担当している野村アセットマネジメントの運用部株式グループ シニア・ポートフォリオマネージャーの福田泰之氏(写真)に、同ファンドの運用のポイントについて聞いた。

 野村アセットマネジメントが設定・運用する「情報エレクトロニクスファンド」がファンド オブ ザ イヤー2020の国内株式型 部門で最優秀ファンド賞を受賞した。2020年のトータルリターンは37.39%と、類似ファンド分類平均を18.39%上回り、かつ、運用の効率性を測るシャープレシオも1.51と類似ファンド分類平均を0.64上回った。運用効率が高く、トータルリターンも非常に優れたファンドとして2019年に続いて2年連続で最優秀ファンド賞を受賞した。同ファンドの運用を担当している野村アセットマネジメントの運用部株式グループ シニア・ポートフォリオマネージャーの福田泰之氏(写真)に、同ファンドの運用のポイントについて聞いた。
 
 ――2019年、2020年と2年連続の最優秀ファンド賞ですが、どのような投資判断が高い運用成績につながったのでしょうか?

 1年間のパフォーマンスの要因分析をやってみると、2019年はアドバンテストやディスコなど半導体関連の銘柄でリターンが出ていたのですが、2020年は任天堂、ソニーといったゲーム関連、新光電工といった半導体関連、村田製作所のような電子部品、また、GSユアサの再生エネルギー関連が貢献しています。2019年は半導体が大きく貢献したのですが、2020年はリターンの源泉が分散していたことが特徴です。

 ポートフォリオの軸を「IoT社会に向けた変化によって恩恵を受ける企業、変化を起こす企業」に置き、それが、コロナ禍によって流れが加速する方向になったので、リターンが出たと思っています。

 コロナショックの時には、全般が大きく下落していったのですが、ポートフォリオを変える必要はないと思っていたので、そのまま維持をしていました。テレワークの普及など、コロナ禍のビフォー・アフターで社会に変化はありますが、基本的にIoTの流れは、もともとあったトレンドで、コロナによって、その流れが加速するであろうということは容易に想像がつきましたので、ポートフォリオを変える必要はないと思っていました。

 株式市場の暴落には肝を冷やしましたが、政府や金融当局の対策によって相場の下落も止まると思っており、それが3月に見られたので、そのまま回復を待ちました。ポートフォリオの見直しが必要かどうかは随時検討していますが、市場がパニックの時には落ち着いてから動こうと思っていました。

 上位10銘柄の中で、コロナ後に入れ替えたのは2銘柄のみでした。上位10銘柄とその組み入れ比率はマンスリーレポートでご確認いただけますが、任天堂は2021年1月末時点では7.5%、GSユアサは6.6%組み入れています。この2銘柄がコロナショックの後に上位10銘柄に入ってきた銘柄です。菅内閣発足後にクリーンエネルギーの普及拡大というテーマが出てきたので、その恩恵を受ける企業として注目したのがGSユアサでした。

 ――当ファンドは1984年2月の設定で30年以上の運用実績がありますが、20年12月末時点で、過去3年、5年、10年の年率トータルリターンはカテゴリーでトップの成績になっています。ファンドの投資哲学、また、企業を選択するにあたって重視しているポイントなどを教えてください。

 株式投資でリターンを極大化したいということが目的です。株価は単純化すれば「EPS(1株あたり利益)×PER(株価収益率)」です。EPSの変化は成長性ですが、それだけでは株価の大きなリターンは望めません。「×PER」のPERの変化が合わさってより大きなリターンが得られます。株価のバリュエーションが上がっていくことが大事です。そこで、EPSの成長と、PERの倍率が上がっていく銘柄を探しています。

 バリュエーションが上がっていくということは、たとえば、成長性が低いと思われている企業が、新規ビジネスか何かで非常に成長性の高いビジネスを始めて利益に貢献し始めた時には、利益成長率は高まり、バリュエーションも高まります。現在は、バリュー株と思われている銘柄であっても、将来、グロース株に化ける時が一番株価のリターンが大きくなるのです。もともと成長率が高いと思われている企業が高い成長率を実現しても株価のバリュエーションは高まりません。その点では企業の変化を捉えるという視線で企業を見ています。

 大きくリターンを出すには長く保有していないと変化が株価に反映されません。一般に2~3割株価が上がると、利益確定の売却をしがちですが、その誘惑に耐えながらできるだけ早売りせずに、買った時の理由が崩れるまでは持ち続けるくらいの気持ちで、勇気をもって保有しています。買いのアイデアは、いろいろと情報を集めることは容易ですが、売るタイミングは自分で判断するしかないので、ここが運用成績の良し悪しが決まるポイントだと思っています。

 ――福田さんが担当する国内公募投信は、当ファンドも含めて「小型ブルーチップオープン」も5ツ★となり、3ファンド全てが5ツ★を獲得するという好成績です。当ファンドを担当して既に10年になりますが、運用のクオリティを保っていくための工夫はありますか?

 入社5年目になる若手がアシスタントとして、彼が入社した時から二人三脚で運用をしています。私自身の運用の仕方は、常に身近に見て理解をしてくれていると思います。ただ、私もまだ48歳ですので、会社が許してくれるのなら、後10年くらいは十分に現役でファンドマネージャーが務められると思います。

 当ファンドは信託期間が2024年2月までになっていて、表面的には残り期間が短いようにみられますが、実際には5年ごとに信託期間の延長を繰り返し、結果的に30年を超える運用期間になっています。パフォーマンスも良いファンドですし、賞もいただいているファンドなので、24年2月の期限は延長されるでしょうし、その後もさらに長寿ファンドとして歴史を積み重ねていける可能性は高いのではないかと考えています。

 投信業界ではIT関連のファンドは、スポット型投信や流行りのテーマを追求した流行りすたりのある新ファンドを立てる事例が多いのですが、そうではなくて、テクノロジーのファンドであれば、野村アセットの「情報エレクトロニクスファンド」があるよねと言っていただけるような「業界の定番商品」的なファンドに育てていきたいと思います。

 ――当面の運用見通しについて教えてください。当ファンドは引き続き相対的に高いトータルリターンを維持し続けることができるでしょうか?

 短期的には半導体の市況を端的に示すDRAMのスポット価格が上がってきています。DRAM以外でも自動車向けをはじめとして半導体が足りないといわれていますから、需給が引き締まっている業界が急に環境が変わって不景気になることは考えにくいので、ファンダメンタルズの良さにポジションを取っていれば、良いリターンが得られると思っています。

 中期的にはIoT社会に向けた変化で、5Gも含めて通信・電力関係のインフラが整備され、次の段階として端末が広く普及し、それをベースにコンテンツやサービスが勃興するという流れができてくると考えられます。今の段階は、インフラが整備されて端末が広まっている初期の段階です。製造業を含めエレクトロニクス業界の株式を持っていれば今後の成長を取り込むことができると考えています。徐々にコンテンツ、サービスへのウエイトが高まってくると思っていますが、未だ、そのタイミングではないと考えています。

 かつて通信規格が3Gから4GLTEに変化した折には、端末もフィーチャーフォンからスマートフォンに変わりました。携帯ゲームもブラウザーベースからアプリケーションベースに変わっていくという変化がありました。その時は、携帯ゲームのプレイヤーがDeNAやグリーから、ガンホー、コロプラ、ミクシーへと変わっていきましたが、当ファンドでは、この変化においてガンホーに着目しており、実際に2011年3月末~2019年12月末のパフォーマンスへの貢献度を計算すると、ガンホーが1位となりました。
 このような変化はビジネスチャンスであるとともに、ファンドにとっても収益チャンスになります。次のチャンスも見逃さないようにしていきたいと思っています。

 ――最後に、当ファンドを保有されている受益者の方、また、当ファンドへの投資を考えている投資家の方へのメッセージをお願いします。

 テクノロジー株式は値動きが激しく、ビジネス環境の変化も激しいので、単年ではパフォーマンスが振るわないということも考えられます。しかし、投資環境の変化に応じて機動的に銘柄選別を行なうことによって中長期でリターンを上げることは可能であると考えています。

 確かに、NASDAQ総合指数等を始めとして、外国株式のリターンは高く、人気になることは分かりますが、当ファンドにおいては私が運用担当者となって以降、その成績に引けをとらないくらいのリターンを出してきています。運用担当者となった2011年4月から2021年1月の期間でNASDAQ総合指数(米ドルベース、配当込)の累積リターン約+425%に対して当ファンドの累積リターンは約+469%です(NASDAQ総合指数はファンドのベンチマークではありません。過去の運用実績であり、将来の運用成果を示唆あるいは保証するものではありません)。

 これだけ結果を出しても、残念ながらファンドの残高はなかなか増えてきていません。引き続き投資収益を確保するための努力は続けて参りますので、ぜひ、投資の候補として当ファンドを選択肢に入れていただきたいと思います。(情報提供:モーニングスター社)

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