新型コロナウイルスと教育:3分の1の国が補習教育未実施~2020年、平均で授業日数の40%を喪失【プレスリリース】

公益財団法人日本ユニセフ協会

Mberra難民キャンプで、休校による退学を防ぐため導入された学習ツールを使い、勉強に取り組む18歳のウサマさん。(モーリタニア、2021年6月撮影) (C) UNICEF_UN0479645_Pouget
【2021年7月13日 パリ/ニューヨーク/ワシントンD.C. 発】

ユニセフ(国連児童基金)、国連教育科学文化機関(ユネスコ)、世界銀行、OECDが世界規模で実施した「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による学校閉鎖に対する国の対応に関する調査(Survey on National Education Responses to COVID-19 School Closures)」によると、学校が閉鎖されている、または閉鎖されたことのある国の約3分の1が、COVID-19による学校閉鎖後の補習プログラムを現在も実施していないことがわかりました。一方で、小中学校での学習損失を測るために取り組んでいる国は全体の3分の1にとどまっており、そのほとんどが高所得国です。

低・中所得国の中で、すべての生徒が対面式教育に戻ったと報告した国は3分の1に満たず、学習の損失や中途退学のリスクが高まっています。しかし、大多数の国では、生徒の復学を促すために、コミュニティを巻き込んだり、学校単位での追跡調査を行ったり、水・衛生設備の改善、経済的なインセンティブ、アクセスポリシーの見直しなど、少なくとも1つの対策を行っていると報告しています。

弱い立場にある子どもたちのための教育プロジェクトの支援を受け、タブレット端末を使って授業を受ける子どもたち。(セルビア、2021年5月撮影) (C) UNICEF_UN0475149_
本調査では、各国が学習損失をどのようにモニタリングし、軽減しているか、学校再開における問題にどのように取り組んでいるか、遠隔教育戦略をどのように展開しているかを記録しています。今回の調査には142カ国から回答があり、2021年2月から5月までの期間の、就学前教育、初等教育(小学校)、前期中等教育(中学校)、後期中等教育(高等学校)の状況をカバーしています。

「遠隔教育は、世界中の多くの子どもたちにとって、学校が閉鎖されている間の生命線となっています。しかし、最も弱い立場にある子どもたちにとっては、それさえも手の届かないものでした。今、すべての子どもたちを教室に戻すことが急務です。しかし、それだけでは終わりません。学校をより良い形で再開するということは、子どもたちの学習を軌道に乗せるための補習プログラムを実施することであり、すべての取り組みにおいて、確実に女の子や厳しい状況の子どもたちを優先することです」と、ユニセフの教育担当グローバルチーフであるロバート・ジェンキンスは述べました。

今回の調査で得られた主な結果は以下の通りです。

学校閉鎖による潜在的な学習損失を軽減するために、さまざまな対策を講じてきました。約40%の国が学年を延長し、また同程度の数の国がカリキュラムに優先順位付けするなどの対応をしました。しかし、半数以上の国はそうした調整は行わず、今後も行う予定はないと答えています。
多くの国が試験会場の安全衛生基準を改善しましたが、それでも28%の国が中学校の、18%の国が高校の試験を中止しました。
学校へのアクセスポリシーの見直しや改訂は、特に女の子のためにはほとんど行われませんでした。低所得国や低中所得国では、10代の女の子が学校に戻れなくなるリスクが最も高いことから、懸念されています。
低所得国では、学校に戻るための最も基本的な対策の実施が遅れています。例えば、十分な石けん、きれいな水、トイレなどの衛生設備やマスクがあると回答したのは、高所得国の96%に対し、わずか10%以下にとどまっています。


今回の調査では、パンデミック発生から1年以上が経過した時点での、遠隔教育や関連する支援の展開と効果についても明らかになりました。結果は以下の通りです。

ほとんどの国が、遠隔教育を提供するために複数の行動をとりました。低所得国ではラジオやテレビ放送の活用が一般的で、高所得国ではオンライン学習プラットフォームを提供していました。しかし、低所得国や低中所得国の3分の1以上が、学習機会を得られた小学生は半数にも満たないと報告しました。
学習への参加を確実にするためには、状況に応じた遠隔学習戦略、親の参画、教師からの支援および教師への支援が必要であり、女の子やその他の疎外された子どもたちが取り残されないようにする必要があります。また、遠隔学習の効果に関する厳密なデータを作成することも必要です。73%の国が少なくとも1つの遠隔学習戦略の有効性を評価していますが、最も困難な状況下での有効性については、より良い証拠が必要です。



ラタナキリ州の村で、休校中にラジオ授業を通じて勉強に取り組む子どもたち。(カンボジア、2020年11月撮影) (C) UNICEF_UN0367642_Raab
2020年、世界の学校は、就学前教育から高校までのすべてのレベルにおいて、平均79日間の授業を完全に休講しており、これはOECDおよびG20諸国の平均した総授業日数のおよそ40%に相当します。この数字は、高所得国では53日間、低中所得国では115日間でした。

補足:
本調査は、ユネスコ統計局(UIS)とOECDが各国の教育省関係者に情報提供を求めた「COVID-19による学校閉鎖に対する国の対応に関する調査」の第3回目で、7月13日に開催されるグローバル教育会合の閣僚級会合で発表されます。この調査は、ユニセフ、世界銀行、ユネスコの「グローバル教育モニタリング・レポート」と共同で、「教育のためのグローバル・パートナーシップ(GPE)」からの資金援助を受けて実施されました。

* * *

■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。 http://www.unicef.or.jp/
※ ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます
※ ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています

■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国33の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 http://www.unicef.or.jp/
企業プレスリリース詳細へ
PR TIMESトップへ
続きを読む