政治・社会

保育園だけじゃない!「待機学童」問題の最前線

2017.02.16R25

放課後に保護者の帰宅を待つ小学生が通う学童保育。厚生労働省は1月16日、2016年に放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ、学童保育)の待機児童数が1万7203人と過去最高になったことを発表した。

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保育園の「待機児童」問題に比べると、クローズアップされることは少ない「待機学童」問題。しかし、早稲田大学文学学術院教授で日本学童保育学会理事の増山均氏によると、「学童保育も例外ではなく、長期的に不足してきた」という。

「学童保育の待機児童数は、2万人弱どころではなく、潜在的には40万人近くいると考えられます。学童保育は公営施設35%、民間施設65%で、入るための基準は施設ごとに異なるため、保育園のように“待機”という扱いにはならず、ただ断られてしまうこともあるからです。2015年に対象児童に高学年が加わったことも、待機児童数増加の一因ではありますが、決定的な理由ではありません」

学童保育の歴史は、1950〜60年代の社会構造の変化を背景に、親たちが場所と指導員を探して共同保育をする動きが都市部から広がったことに始まる。1997年に「放課後児童健全育成事業」が児童福祉法に加えられ、法制化された。

「法的には建物や専門職員の予算を持った“施設”とは異なり、“事業”のため、予算も少なく、指導員の規定も曖昧な状態でのスタートでした。その後、需要の高まりから学童保育は大規模化。2014年には厚生労働省令で、一つの集団の規模はおおむね40人以下にするという基準が設けられています」

省令には、規定の研修を修了した「放課後児童支援員」を各施設に配置することも盛り込まれた。だが、給与は低く労働条件も整っておらず、働く人の情熱に頼る状態だ。また、施設の整備も問題となっている。現在はプレハブや空き家を使っている場合もあり、耐震基準を満たすことはもちろん、空調設備の完備や体調の悪い子どもが休む場所も必要だが、間に合っていないのが現状だ。

そして、気になるのは今後。保育園の「待機児童」がこれだけ社会問題化していることを考えると、その数年後にやってくる「待機学童」問題はより深刻になっていくのではないだろうか。

「ニーズの高さでは0歳児保育などが待ったなしの状況である保育園の方が上ですが、今後、学童保育も急速に増えるでしょう。ただ、学童保育は地域の子どもの居場所の一つでしかありません。放課後の子どもの生活はどうあるべきで、それをどう保証するかの議論が日本社会ではあまりされておらず、決着も付いていない状況ということです」

設備面も含め、まだまだ十分な状況には至っていないことがうかがえる学童保育。どんな環境が放課後の子どもたちに必要なのか、保育園問題並みの活発な議論が待たれる。
(飯田樹)

(R25編集部)
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※当記事は2017年02月15日に掲載されたものであり、掲載内容はその時点の情報です。時間の経過と共に情報が変化していることもあります。
※コラムの内容は、R25から一部 抜粋したものです
※一部のコラムを除き、R25では図・表・写付きのコラムを掲載しております

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