政治・社会

意外な影響も? 都心のカラスが年々減っている理由

2016.12.29R25

都心でカラスが減っていることに気づいているだろうか? 「都市鳥研究会」が発表した「東京都心におけるカラスの集団塒(ねぐら)の個体数調査」によると、2000年以降、東京都心におけるカラスの数は減少を続けている。

これは、鳥の研究者などで構成される同研究会が、5年ごとに都心3カ所のねぐらで実施している調査の結果だ。調査を開始した1985年に6727羽だったカラスは増加を続け、ピークとなった2000年には1万8664羽となった。しかし、2000年以降は減少に転じ、2015年には4816羽と最盛期の約4分の1になっている。都市鳥研究会代表の川内博氏に、減少の理由を聞いてみた。

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「減った理由を考える前に、増えた理由を知る必要があります。1985年からの増加は、バブルを挟んでいることもあり、路上に置かれる食べ残しや未使用の食材が含まれた生ゴミの量が増えたことが原因だと考えています。調査を始めたのも、1980年頃からカラスの姿が都心で目立つようになり、住民との生ゴミをめぐるトラブルが増えていたことがきっかけです」

1990年代後半からはカラスに関する議論が活発になり、東京都は2001年からカラス対策を始めた。具体的には、公園などにカラスを捕まえるトラップを設置したこと、そしてゴミ対策だ。2016年現在でも、東京都は「トラップ捕獲及び大規模ねぐらでの巣の除去を継続実施」し、「エサやり防止・ごみ対策等において、区市町村と連携して対応」している。東京都でもカラスの数は調査しており、調査と対策を開始した2001年以降、カラスの数は概ね減少を続けている。

しかしトラップの効果に関しては、賛否両論があると川内氏は話す。

「トラップは、大型の檻を設置し、その中にオトリのカラスと食べ物を入れる仕組みになっています。ただ、その罠に引っかかりやすいのは経験の少ない若いカラスのため、繁殖ができる大人のカラスは減らず、上澄みを取るだけです。カラスが増えた原因がエサだとすれば、兵糧攻めにする方が繁殖できる個体数が減り、結果としてカラスの数の減少に繋がるでしょう。そういった観点やカラスが生き物であることへの考慮から、日本野鳥の会などは、生ゴミの長時間放置を減らしたり、回収方法を工夫したりする方向性を求めてきました」

カラスが減ったことは、生態系に影響しないのだろうか? 川内氏によると、生息しているカラスの種類に変化が現れ始めているという。

「日本にふつうに生息しているカラスには2種類います。ハシブトガラスは森林性で、木の上から下にある食べ物を探す性質があり、ハシボソガラスは草原性で、地面を歩きながら生き物の死骸などを食べる性質があります。これまで東京23区内は、森林性のハシブトガラスばかりだったのですが、ハシブトガラスの減少に伴い、都心でもハシボソガラスが台頭してきました」

また、カラスの数との相関がまだ明確ではないものの、2000年頃から、カラスの天敵であるオオタカの繁殖が皇居などで見られるようになったそうだ。オオタカはカラスを捕食するため、都心部に生息するカラスにとって何らかの影響があるのではないかという。

川内氏によれば、カラスは増えすぎても困るが、生態系においてはネズミなどの動物の死骸などを食べる「自然の掃除屋」としての役割もある。都市部のカラスは今後も減少を続けるのか、そしてどんな影響があるのか見守りたいところだ。

(飯田樹)

(R25編集部)
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※当記事は2016年12月28日に掲載されたものであり、掲載内容はその時点の情報です。時間の経過と共に情報が変化していることもあります。
※コラムの内容は、R25から一部 抜粋したものです
※一部のコラムを除き、R25では図・表・写付きのコラムを掲載しております

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