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プロで「軟式出身野手」も?軟式球変更で球界に影響は

2017.01.11R25

WBC(ワールドベースボールクラシック)が近づくと、「ボールへの対応が…」という話題が持ちあがる球界。だが、ボールの対応に迫られるのはプロだけでないらしい。全日本軟式野球連盟と野球ボール工業会は12月1日、従来のA号(一般)、B号(中学生)、C号(学童)の3種類だった軟式球を、M号(=メジャー:中学生以上)、J号(=ジュニア:学童)の2種類に変更することを発表した。…といっても、それによって選手にはどんな影響があるのか? 中学軟式野球に詳しい野球ライターの大利 実氏に話を聞いた。

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◎軟式出身野手の台頭が今後増える可能性も!?


発表で配られた資料には、「軟式野球100年の歴史を塗り替える」「革新的な“次世代ボール”」といった記述があり、軟式球を硬式球の使用感に近づけることが狙いだという。一番大きな変更点は、現状、弾み過ぎるという指摘が多い軟式球のバウンドの高さを抑制しつつ、表面のくぼみ面積を増やすことで空気抵抗を減らし、さらに圧縮荷重を上げて変形エネルギーを押さえたことにより飛距離をアップさせたこと。

「軟式野球と硬式野球は競技が違う、とまでいう人がいます。一番の違いは守備への対応。従来の軟式球では高いバウンドに対処するため腰高の守り方になり、高校で硬球の低くて速い打球に慣れるまでに時間がかかる傾向があります。実際、プロ野球選手が中学生時代に軟式、硬式どちらでプレーしていたかで比較すると、投手では軟式経験者が多いのに、内野手・外野手はシニアやボーイズなどの硬式経験者の方が圧倒的に多いデータがあります」

では、早くから硬式球に近いボールに触れることで守備意識が変化し、日本人メジャーリーガーの野手が成功しやすくなるようなことは…!?
「それはさすがに言いすぎだと思いますが、高校で硬式球に移行する上でのギャップが少なくなりますので、強豪校のスカウティングで軟式の野手を評価する向きが増えるかもしれません」

◎ダルビッシュのようなツーシーム投手がさらに増える!?


ボールの弾み方が変わる、という点から打撃や守備に目が行きがち。だが、投球においても変わりそうな点はあるという。

「今回の仕様変更では、小・中学生の体格の成長にあわせて従来よりも2mm大きく、3g重くなっています(B号とM号の比較)。これによって投げにくくなるのでは? という危惧もありましたが、実際に選手に使ってもらうと、『投げやすい』という声が多いです。というのも、縫い目の数が変わり、縫い目の形も硬球に近づけたことで、指にかかりやすくなったから。指によくかかるので、ツーシーム(打者の手元で沈むように変化する球種)系の変化球もより曲がるようになったといいます。また、球速も出やすいなど、投手の評判はすこぶるいいです」

ということは、メジャーのようにツーシーム全盛の野球が日本球界の若年層から起こるのかもしれない。

「マイナス面があるとすれば、表面のくぼみの面積が増えたことで、ちゃんと縫い目に指をかけなくてもそれなりの送球ができてしまうこと。野手に関しては、送球への意識がおざなりになってしまう懸念があります。また、手の小さな選手は投げにくくなりますので、故障の要因になるのでは? という懸念も一部ではあります」

◎「野球の国際化」がこれまで以上に進む可能性アリ


「今回の仕様変更には、軟式球をもっと広く使ってほしい、という狙いもあります」と大利氏。軟式球を使う国は現状、ほぼ日本だけだが、硬球球とのギャップが狭まることで海外展開がしやすくなる、という見立てだ。

「もともと硬式球よりも耐久性にすぐれ、コストも安い軟式球には潜在的な需要があるはず。アジアや中南米ではすでに使われていて、さらに普及する可能性はあり、軟式球が野球の国際化に一役買う可能性もあります」

軟式と硬式の差がなくなる、という意味では、高校や大学、社会人での軟式野球チームから、プロに進むケースが増えるかもしれない。

「軟式野球からプロに進んだ例としては、元広島の大野 豊さんを筆頭にほとんどが投手。今後は野手でも活躍するケースが増えれば面白いですよね。また、軟式→硬式の対応の図式だけでなく、硬式から軟式に戻るケースでも違和感なくプレーができるようになる、といったプラス面もありそうです」

今後、硬式経験者が草野球で「こんなはずじゃ…」と首をかしげるケースが減るかもしれない。ただ、新規格の軟式球導入は早くて2017年12月からとのこと。プレーに影響を与えるのはもうすこし先のことになりそうだ。
(オグマナオト)



(R25編集部)
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※当記事は2017年01月10日に掲載されたものであり、掲載内容はその時点の情報です。時間の経過と共に情報が変化していることもあります。
※コラムの内容は、R25から一部 抜粋したものです
※一部のコラムを除き、R25では図・表・写付きのコラムを掲載しております

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