キャリア

アソビシステム中川氏「経験からヒットは生まれない」

2016.12.20R25

世界中にファンを持つ、原宿発のKAWAii(カワイイ)カルチャー。その火付け役ともいえる、きゃりーぱみゅぱみゅを発掘し、ワールドツアーなどもプロデュースしているのがアソビシステムの中川悠介社長だ。

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日本の尖ったファッション・音楽・ライフスタイルを世界に発信する仕掛け人だけに、自身も日々センスを磨くことに余念がないはず。中川氏自身は現在35歳だが、若者にウケるための感性を保ち続けるために心がけていることはあるのだろうか? …そう投げかけると、「その質問、そもそも間違ってますよね」と厳しい言葉が飛んできた。

●フォーマットやマーケティングに当てはめすぎると、何も生み出せない

「感覚が古くなるのは年齢じゃなく、『経験から予測してしまう』からだと思います。成功体験を積み重ねると、始めから答えを予想して“合わせにいって”しまう。こういうインタビューでの質問も同じで、聞き手が経験を積んでいるからこそ、『この人はきっとこういうことを言うはずだ』と“答えを先回りした質問”をしてしまう。うちの社員なんかでも、最初は斬新でとがったおもしろいアイデアだったのに、気がついたら丸くなってたことがよくあります。それって、進めていくうちに過去の経験から“方程式”に当てはめがちだから。気づいたらどんどん型にはまり、型がないと不安になる。中堅の社員がハマりがちな落とし穴ですよね」

中川氏はとにかく型にはまることを嫌う。たとえば、新しいビジネスを仕掛ける際も、徹底的に自身の本能に従うという。

「経験なんて不確かなものに頼らず、常に自分の頭で考えること、本能で感じることが大事です。だから、僕はビジネス書もあんまり好きじゃない。成功した人の体験談とか教科書とか…。フォーマット通りにいくんだったら誰でも成功するじゃないですか」

場数を踏めば踏むほど「成功体験」も増えていく。しかし、それが逆にアダとなり、感性の広がりを阻んでしまうこともある。
「アソビシステムは、いわゆるマーケティングをしません。というより、マーケティングって、よくわかんねえなって思ってる。本当に売れる人、成功する商品やサービスってマーケティングだけでは語れないものがある。たとえば、10代の女性にウケるケーキを作ろうと思ってターゲット絞って消費者の声を集めてみたところで、実際は40代のオトコに売れたりする。『R25』だってタイトルはターゲティングしてますけど、ひょっとしたら学生や年配の人が楽しんでるかもしれないし、25歳の部下の扱いに悩んでる40歳の上司世代が読んでるかもしれないでしょ。いまって、こちらがターゲットを決める、特に年齢というレッテルで切り分ける時代ではないと思います」

●これからヒットするコンテンツは「共存・共感」がポイントになる

過去の成功体験にとらわれると、未経験のピンチに陥った時に打ち手を見失う。たとえば、不況にあえぐ音楽業界や出版業界。CDや雑誌が売れないと言われて久しいが、まずは“売れた時代”の経験を捨てる必要があるという。

「僕は雑誌もCDもなくならないと思っています。どちらも価値があるものだから。でも、価値の見せ方は再定義する必要がありますよね。かつては100万部、100万枚売ること、たくさんの人の手に届くことが価値でした。でも、今は5万部しか売れない。だったら、20万人が心底満足するコンテンツを作るとか、それで成立するビジネスモデルを考えることが重要です」

売れない時代のビジネスモデル。その鍵は「共存・共感」だと中川氏は考えている。

「100万部の時代は、正直“たいして興味がない人”も買っていたと思うんです。それってパイは大きいですが、ちゃんと届いていたんでしょうか。これまではパブリッシャー側だけが力を持っていたけど、これからはコンテンツの作り手とパブリッシャーが手を組んで、“共存”することが不可欠だと思います。そして消費者はコンテンツに“共感”する。そういうビジネスモデルが結果として、たとえば多くの人が観る『君の名は。』みたいな大ヒットを生むんじゃないですかね」
(末吉陽子/やじろべえ)

(R25編集部)
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※当記事は2016年12月19日に掲載されたものであり、掲載内容はその時点の情報です。時間の経過と共に情報が変化していることもあります。
※コラムの内容は、R25から一部 抜粋したものです
※一部のコラムを除き、R25では図・表・写付きのコラムを掲載しております

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